条件付確率の節でよく使われる題材の中に,ふつうの確率で理解できる興味あるものがある.
すなわち p(A)=n(A)/n(U) で確率が計算できる.
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- 問題1
- 次のような札が1枚ずつある.
- 2面とも赤,2面とも黒,1面が赤で1面が黒
- これから1枚をでたらめに取り出して置く.
- 表が赤であった.
- 裏も赤である確率はいくらか.
- 解答
- 赤い面が3つあり,裏も赤いのは2つあるから,確率は2/3である.
- 問題2
- 硬貨を2枚投げる.
- 表が出た硬貨があった.
- 2枚とも表が出た確率はいくらか.
- 解答
- 表があるのは表裏,裏表,表表の3つの場合があるので,確率は1/3である.
- 硬貨投げの問題は微妙である.
問題を面白くしようと脚色すると確率が変わる場合があるので注意が必要である.
- 問題3
- 硬貨を2枚投げる.
- 表が出ている硬貨が見えた.
- 2枚とも表が出た確率はいくらか.
- 解答
- 見えなかった硬貨が表か裏か2通りだから,確率は1/2である.
- 問題4-1
- 硬貨を2枚投げる.
- 硬貨を見てない誰かが「表が出た硬貨がありますか」と訊いた.
- 投げた人が「あります」と答えた.
- 2枚とも表が出た確率はいくらか.
- 問題4-2
- 硬貨を2枚投げる.
- 硬貨が見える人が「表が出た硬貨がありますか」と訊いた.
- 投げた人が「あります」と答えた.
- 2枚とも表が出た確率はいくらか.
- 解答
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質問者が必ず「表が出た硬貨がありますか」と訊くということになっていれば,
問題2と同様で確率は1/3である.
しかし,質問者が「裏が出た硬貨がありますか」と訊くこともあると考えられる.
問題4-1では,質問者が硬貨を見ていないので,「表が出た硬貨がありますか」と訊くのは,
表表,表裏,裏表,裏裏の4つの場合に公平に行われる.
したがって,「あります」と答えたとき,表表である確率は1/3である.
一方問題4-2では,質問者が硬貨を見ているので,
何が出ているかによって「表が出た硬貨がありますか」と「裏が出た硬貨がありますか」を
使い分けて確率を操作できる(問題が不備である).
- (1) 表表のとき「表が出た硬貨がありますか」と訊く.
それ以外のとき「裏が出た硬貨がありますか」と訊く.
- この場合,「表が出た硬貨がありますか」と訊いて「あります」と答えたとき,
表表である確率は1である.
- (2) 表表のとき「表が出た硬貨がありますか」と訊く.
1つが表で1つが裏のとき,4回に1回の割合で「表が出た硬貨がありますか」と訊く.
それ以外のとき「裏が出た硬貨がありますか」と訊く.
- この場合,「表が出た硬貨がありますか」と訊いて「あります」と答えたとき,
表表である確率は2/3である.
- (3) 表表のとき「表が出た硬貨がありますか」と訊く.
1つが表で1つが裏のとき,4回に3回の割合で「表が出た硬貨がありますか」と訊く.
それ以外のとき「裏が出た硬貨がありますか」と訊く.
- この場合,「表が出た硬貨がありますか」と訊いて「あります」と答えたとき,
表表である確率は2/5である.
- (4) 1つが表で1つが裏のとき「表が出た硬貨がありますか」と訊く.
それ以外のとき「裏が出た硬貨がありますか」と訊く.
- この場合,「表が出た硬貨がありますか」と訊いて「あります」と答えたとき,
表表である確率は0である.
- 等々.
- 問題5
- 硬貨を2枚投げる.
- 投げた人が自分で「表が出た硬貨があります」と言った.
- 2枚とも表が出た確率はいくらか.
- 解答
- この場合も投げた人が「表があります」と「裏があります」を使い分けることによって,
確率を操作できる(問題が不備である).
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問題5を悪用した詐欺まがいの行為にひっかからないように注意しよう.
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