数学的帰納法というと証明に使う手段というイメージが強いが,
定義にも使われるし,解を発見するために用いる非常に有用な道具である.
数学的帰納法によって解を発見する例を紹介する.
- 考え方
- 自然数nに関する問題を解くとき,
いきなり一般の(あるいは大きな)nについて解こうとすると難しい.
小さなn=1,2,3,… について具体的に解いてみる.
そのとき,いままで得られた(より小さいnについての)解答を利用してもよいことに注意する.
その課程で,kより小さいnについての解答を利用して
n=kのときの解答を得る一般的な方法が見つかれば,
それを順々に適用することによって,大きなnについての解答が得ることができる.
- この帰納的な解法から,任意のnについて直接解答を導く解法が得られるとは限らない.
(数列において,漸化式から一般項が求められるのは,特殊な場合だけである.)
大きなnについても,時間をかければ解答が得られることが重要である.
- 逆の考え方
- 大きなnについての問題を,より小さいnについての問題に帰着することを考える.
どんどん小さいnに帰着していって,いつか具体的に解けるnに到達すると,
初めのnについての解答ができあがっている.
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数列の漸化式は数学的帰納法を用いた定義の典型的な例である.
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