実験1
- クラスの生徒にさいころを1つずつ渡す.
- 特定の目(たとえば3)が出るまで振り続けて,何回かかったか記録する.
- 平均何回かかるだろうか.
実験1の平均回数の理論値
- この平均値(期待値)は無限等比数列の和になるが,
次のように考えると直観的に求められる.
- 非常に大勢の人が,さいころを3の目が出るまで振り続けるとする.
- 3が出たときは赤い砂を1グラム貰って終える.
- 3以外が出たときは青い砂を1グラム貰って振り続ける.
- 砂を1グラムだけ貰う人が全体の6分の1いる.
- 砂を2グラムだけ貰う人が残りの6分の1いる.
- 砂を3グラムだけ貰う人がさらに残りの6分の1いる.
- …
- 砂をたくさん貰った人が少ししか貰わなかった人に青い砂を譲って全員が同じグラム数になるようにする.
- そのとき,各人が持っている砂のグラム数が求める期待値(平均値)である.
- 1回目に青い砂を貰った人は赤い砂を貰った人の5倍いる.
- 2回目も青い砂を貰った人は赤い砂を貰った人の5倍いる.
- …
- ゆえに全員が貰った砂を合わせると,青い砂が赤い砂の5倍ある.
- 全員が同じグラム数になるように青い砂を譲り合った後,各人が持っている砂は
- 赤い砂が1グラム
- 青い砂が赤い砂の5倍,すなわち5グラム
- 合わせて6グラムである.
- したがって,平均回数は6回である.
- 一般に,独立試行を繰り返し行うとき,ある事象が初めて起こるまでにかかる試行の平均回数は,
1/p回 である.
ただし,pは1回の試行でその事象が起こる確率である.
実験2
- すべての目が出るまでさいころを振り続けて,かかった回数を記録する.
- 平均して何回かかるだろうか.
実験2の平均回数の理論値
- 1つ目の目は何でもよい.
- 必ず1回目に出るから,それまでにかかる回数は1回である.
- 出た目をaとする.
- 2つ目の目はa以外の目である.
- a以外の目が出る確率は 5/6 だから,1つ目が出てから平均 6/5回 かかる.
- 出た目をbとする.
- 3つ目の目はa,b以外の目である.
- a,b以外の目が出る確率は 4/6 だから,2つ目の目が出てから平均 6/4回 かかる.
- …
- 最後の目が出る確率は 1/6 だから,5つ目の目が出てから平均 6/1回かかる.
- したがって,全部の目が出揃うまでにかかる平均回数は次のようになる.
- 6/6+6/5+6/4+6/3+6/2+6/1=14.7 回
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