二次関数の最大最小の例題
概要
二次関数の最大最小の問題は単なる計算問題が多く,
応用問題というと,面積か投げ上げたボールの高さに関するものくらいしかない.
「A4(または B5 でも A5 でもよい)の紙を,ある条件を満たすように折ったときの
折り目の長さの最小値を求める」問題を紹介する.
導入(用紙の二辺の比が 1:√2 であることを確認する)
- (理論的)
- 用紙を二枚配る.
一方を対角線で折って折り目をつける.
- もう一方を短い辺どうしが重なるように半分に折る.
半分に折ったままで対角線を折る.
- 両方をうまく重ねると,二辺と対角線が重なり合う.
- これより,両者は相似な長方形で面積の比が 1:2 であることがわかる.
ゆえに,両者の(長)辺の比,すなわち用紙の短辺と長辺の比は 1:√2 である.
- (直観的)
- 用紙の四つの頂点を O,A,C,B とする(OA が短辺,OB が長辺).
- OA が OB 上に重なるように折って折り目 OP をつける(P は辺 AC 上).
- OB が OP 上に重なるように折る.
B が P に重なることを確認する.
- これより,次のことがわかる.
OB=OP=√2 OA
演出(問題の奥にある意味を理解する)
- (作業)
- 先と同じように用紙を OACB とする.
二辺 OA,OB をそれぞれ八等分する印をつける.
半分に折ることを繰り返してできる.
ただし,折り目は辺のそばだけ,なるべく短くつけるようにする.
- OA の八等分点の1番目と OB の八等分点の7番目が両端となるような折り目をつける.
- 同様に,2番目と6番目,3番目と5番目,……,7番目と1番目を結ぶ折り目をつける.
- そうすると,折り目に沿って曲線が浮かび上がって見える.
- 八等分ではなくもっと細かく等分して同じことをすれば,もっとくっきり浮かび上がる.
- (説明)
- 実はこの曲線は放物線であるが,傾いている.
どのくらい傾いているのだろうか?
- 頂点は最も短い折り目(八等分点とは限らない)の上にあり,
軸はその折り目に垂直な線である.
問題
- (問題)
- O(0,0),A(1,0),B(0,√2) とする.
- OA 上の点 P(t,0) と OB 上の点 Q(0,√2(1-t)) を結んだ線分 PQ の長さが
最小になるときのtの値を求めよ.
- (解答)
- t=2/3
- (追加説明)
- 一般に,平行四辺形 OACB の OA 上の点 tOA と OB 上の点 (1−t)OB を結ぶ線分によって
浮かび上がる曲線(包絡線)は,軸が対角線 OC に平行な放物線になる.
- また頂点を通る線分が最も短い.